その妖精の名前は、ファータといった。彼女はいつでも、他の妖精達の笑いの種だった。
幼い頃から病気がちだったファータは、身体も小さく、普通の妖精達の半分ほどの大き
さの羽しかもっていなかった。
 しかしファータは、嘲けるような笑いにも、哀れむような視線にも、いつも幸せそう
な笑顔を返すだけだった。彼女にはほんの少しだけ、人に誇れるものがあったからだった。
 ファータの歌声は、優れた歌い手ばかりの妖精達の中で、飛び抜けて上手いわけでは
なかった。ただ、彼女の友人である妖精達は、その歌声を誉め称え、よく風邪を引いて
ベッドに寝ている彼女に会いに来ては、その歌をせがんでいくのが常だった。ファータ
もそれに快く応え、かすれたような声で皆にその歌を聴かせたのだった。
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